
雑穀栽培を実践し、BLOF理論を学ぶ中で、
私が感じたことは、
作物に必要な栄養は、種の栄養バランスに表れる
ということです。
それは、雑穀や在来種の作物を観察していると、
驚くほどはっきりと
「その土地の土壌特性」が栄養成分に刻まれている
ということが見えてくるからです。
こんにちは!髙杉多希です。
訪問してくれてありがとうございます。
雑穀と野菜で作る家庭料理教室 たきさんちを主宰したり、
畑で雑穀や野菜を育てたりして、
Instagramで情報発信をしたりしています。
「たきちゃん」「たきさん」と名前で呼んでください♪
私は、雑穀を育てて8年目。
BLOF理論を学んで3年目?
BLOF理論を端的に言えば、
土壌分析をして、作物に必要な栄養を、適切な形で補う
というやり方かなと思います。
その際に、野菜を栽培している人は、
果菜や根菜、葉物などの栄養成分を見ることになりますが、
私は、雑穀を育てているので、
種の栄養成分と、畑に必要な土の関係を、
じっくり観察することになります。
実際に数値を比較してみると、
「作物に必要な栄養は、種の栄養バランスに表れる」ということが、
決して抽象的ではないことが分かります。
エゴマに表れる土地の力
たとえば、エゴマ。

今回、改めて調べてみて驚いたのですが、
100gあたりで見ると、
カリウム1007mg、カルシウム407mg、マグネシウム595mg、鉄4.5mgと、
かなりミネラルに富んでいます。
脂質も43%と高く、ビタミンEも豊富です。
参考:日本特産種苗協会 情報誌 第5号 PDF(p.13 エゴマの成分表)
ここで注目したいのは、
同じエゴマでも中国産のものと比べて、
日本の在来種、特に福島県産のエゴマのほうが栄養価が高いという点。
これは、日本の火山灰土壌が持つミネラル特性や、
有機的な栽培方法が反映されている結果といえるでしょう。
つまり、同じ「エゴマ」という種であっても、
土壌の質や栽培環境が違えば、
成分値に大きな差が生まれるのです。
南米アンデスが育てたアマランサスとキヌア
次にアマランサスやキヌア。
これらは南米アンデス山脈の高地が原産地です。
標高3000mを超える高地、昼夜の寒暖差、限られた雨量――
その過酷な環境を生き抜くために、
これらの雑穀は、必要な栄養を種に蓄えてきました。

アマランサスにはカルシウムが200mg以上、
鉄は9mg前後、マグネシウムは250mg以上含まれます。
キヌアも同様に、鉄やマグネシウムが白米の数倍。
痩せたアンデスの土壌で生き延びるために
作物自身が必要とした結果ですが、
それにより、日本よりも少ない食糧で、
アンデスの大地では生きられたのかもしれません。
穀物を炊いて食べることで、
サルからヒトになった人間のために“用意された”植物のようにも感じられます。
私たちが雑穀という種を食べることで、
結果的にその土地の生命力を受け取っている
そう考えると、食べものと大地の関係が近づきますね。
日本の雑穀・ヒエ、アワ、キビのしぶとさ
エゴマ、アマランサス、キヌアはすごい!
では、日本の在来雑穀であるヒエやアワ、キビはどうでしょうか。
これらはアンデスほどの土地のミネラル量はないので、
単純に栄養価を比較すると、栄養価は少ないです。
しかし、突出した数値は少ないものの、バランスの良さが光ります。
日本列島はモンスーン気候で、
恵みの雨がある反面、山間部は痩せ地も多く、
洪水や干ばつも繰り返されてきました。
ヒエやアワ、キビは、
そんな不利な環境でもしぶとく稔り、
日本人の命を支えてきたのです。
雑穀のしなやかでタフな性質が、
そのまま私たちの体にも力を与えてくれます。
私たち日本人のほがらかさと忍耐に繋がっているのかもしれませんね。
土壌と作物、そして「食べる人」へのつながり
こうして見ていくと、
種に含まれる栄養成分は単なる「食品データ」ではなく、
その作物がどんな土地に育ち、
どんな環境を乗り越えてきたのかの“証明書”のよう。
・エゴマは、火山灰土壌の恩恵。
・アマランサスやキヌアは、高地で必要な栄養を極限まで濃縮。
・ヒエやアワ、キビは、日本の厳しい自然の中でバランスよく養分を貯える。
そして私たちは、それを料理して食べることで、
「土地の栄養バランス」を自分の体に取り込み、
体を作っているのです。
未来食が示す“答え”
未来食が「雑穀を食べること」をすすめるのは、
単にスーパーフードだからではありません。
雑穀を通して、大地と繋がり、
私たち人間が本来持っている生命力を呼び覚まし、
腸から体を整えていくからです。
種の栄養価を比較することは、単なるデータ分析ではなく、
「土壌と命の関係性」を読み解くことにつながります。
未来食を実践すると、体が整い、心に余裕が生まれます。
それはまさに、
作物が長い歴史の中で積み重ねてきた栄養と生命力を、
料理して食べることで、
自分の中に再現しているからなのです。
おわりに
エゴマ、アマランサス、キヌア、ヒエ、アワ、キビ――。
それぞれの種に込められた栄養は、
育った土壌の記録であり、
未来を生きる私たちへのメッセージでもあります。
「食べる」ということは、
ただ栄養成分を摂取することではなく、
大地とつながり直すこと。
種の中に刻まれた力を受け取ること。
だからこそ、
サプリのように、何かを抜き出して摂るのではなく、
料理して丸ごと食べることに意味がある。
その実感を、ぜひ一度、雑穀を通して味わってみてください。
食卓から、未来は確かに変わっていきます。
コメントをお書きください