全国の熱い自然栽培農家が集結!「自然栽培と管理会計」セミナー

美味しく食べて体質改善!

食と命のシステムを最大限に活かす料理術、

つぶつぶ雑穀料理を青森県弘前市で伝えています。

 

雑穀と野菜で作る家庭料理教室

たきさんちの高杉多希です!

 

 

訪問してくれてありがとうございます! 

 

今年も参加する予定の「自然栽培スクール」。

 

「奇跡のリンゴ」で有名になった、

木村秋則さんの提唱する、

無農薬・無肥料栽培で作る、

「自然栽培」の野菜や果物は、

本当に美味しいのです。

 

そのスクールから案内があったセミナーに、

予定が空いていたので、

気軽な気持ちで参加してきました。

 

まさか、あんなに熱い思いをいただいた、

全国の農家さんたちにお会いできるとは!!

 

 

 

 

 

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冬らしくない冬、と言い続けて立春が過ぎ、

このまま春になるかと思われていたのに、

 

まさかの大雪の週末。

 

弘前大学50周年記念会館にて、

メルコ学術振興財団さんと、

弘前大学人文社会学部による主催の、

 

公開特別経営セミナー、

「自然栽培と管理会計」に参加。

 

 

行ってから、「あれ?」って思いました^^;

 

もっと手作り感ある集まりだと思ってたら、

「割と大掛かりなセミナーだぞ」と。

あんまり写真を撮っていないので文章で。

 

 

メルコ学術振興財団」というのは、

パソコン周辺機器の「バッファロー」を中核とした、

23社からなる「メルコグループ」が運営する、

公益財団法人で、

様々な研究に資金を助成したり、

研究成果の出版をしたり、

セミナーをしているそうです。

 

その一環として、

今回の「自然栽培と管理会計」のセミナーが開催されました。

 

 

自然栽培は体に良いのは、

もちろん良いことですが、

 

経営は成り立つのか、

利益と収入を生み出せるのか、

 

つまり「ビジネスとしての自然栽培」をどう見るのか?

ということが、今回のテーマでした。

 

 

結果としては、「成り立つ」というのが、総意だと思います。

 

 

今回は、4名の実践者の方の発表がありました。

 

 

順にご紹介したいと思います。

 

 

まず、宮尾浩史さん。

 

 

新潟県で稲作と養鶏の農家さんで、

就農26年目。

 

加工食品会社に勤務した後、

就農して有機栽培から始めり、

2009年に木村秋則さんに出会い、

自然栽培に転換したそうです。

 

 

有機栽培では手間がかかり、

1.9haが限界だったのが、

 

自然栽培だからこそ面積を伸ばすことが実現し、

今では4.2haの田んぼを全面自然栽培で育てているそう。

 

 

 

養鶏は平飼いで、

1坪辺り9羽と空間を広く撮り、

床には稲わらを敷くことで、

臭わないそうです。

 

また、通常の養鶏のエサは、

輸入飼料が90%だそうですが、

宮尾さんは80%が新潟県産米で、

 

その内訳は、酒粕だったり、

同じく新潟県でお米作りをする、

上野晃さんのお米を与えているそう。

 

おかげで、普通のものよりも、

黄身が白いそうです。

 

(通常の卵は、トウモロコシを与えるため、

黄身が黄色いです。

わざと黄身を黄色くするために、

飼料にパプリカや唐辛子を混ぜる業者もあるとか)

 

 

会計的には、収入に対する経費の割合から見て、

稲作の方が所得は多く、

 

養鶏を少し補ってるように感じました。

 

やはり、植物ではなく動物相手であることと、

卵は一個一個の梱包の手間と資材が、

経費が大きくなる理由と思います。

 

(そういう意味でも、

ビーガンって地球にも財布にも優しいですね)

 

 

 

全体的な収入は、すごく儲けているわけではありません。

(直接的な金額はここでは明記しません)

 

しかし、自然栽培で、

自分で自分の食べものを作れることの安心感や、

思いを同じくする地域の仲間との共同が、

 

所得以上に豊かな暮らしが実現しています。

 

(食費が一般家庭より低かったら、

同じ収入でも支出が違うので、

一概に比較できませんね)

 

 

宮尾さんはお勤めしてた魚卵の加工で、

解散資源の悪化を目の当たりにしたことから、

「人にとっても、地球にとっても良い農業がしたい」と思ったそう。

 

 

「稲もヒヨコも人も同じ」

そんな気づきがたくさんあったそう。

 

自然栽培だからこそ、経営が成り立つ。

 

後に続く人のために、

 

心と技術を磨いていきたい。

 

規模拡大ではなく、

品質、終了、内容を向上させ、

その技術を共有して広げて行きたい。

 

そんなたくさんの思いを、

短い時間で伝えてくださいました。

 

そこには私利私欲的なビジネスではなくて、

「本当に良いと思うものをお客様に直接届けたらやっていけるはず」

という、まっすぐな思いがありました。

 

 

 

 

だからこそ、地域の方に慕われ、

次に続こうとしている方が、

表れているんだろうと思います。

 

新潟では、自然栽培の大きな動きが出来ているそうです。

 

ナチュレ片山

 

人田畑

 

おひさま日曜市

 

ひながたがく

 

 

 

 

 

続いて、茨城県の唐澤秀さん。

この方。

 

静岡県出身で、

農業法人に8年半お勤めし、

埼玉県の関野農園さんの小松菜の美味しさに感動したのが、

自然農園との出会いだそう。

 

2006年に知人に誘われた研修で、

木村秋則さんに出会い、

最初はいぶかしく思っていたものの、

 

借りた畑で自然栽培を実践してみて、

これは本物だと実感して、

2008年に新規就農。

 

現在は、米、麦、豆、野菜など計70種を栽培し、

イベント開催、レストラン経営、クラフトビールの製造を行っています。

 

鹿島パラダイス

 

 

唐澤さんのゴールは、

「この世にパラダイスを作る」

 

パラダイスのビジョンイラストはコチラ

イラストレーターの「アカネ」さんに依頼して描いてもらったそうです。

 

 

「持続可能で、体にも環境にも良くて、

美味しく心地よく、煩悩全開であっても、

経済が回る社会は実現できる」

 

そのための壮大なる実験が、

現在の実践だそう。

 

会社の理念である「パラダイス憲章」は、

 

「うまい」を常に選ぶ。

自らの頭で考え、つくる。

「買った方が安い」はダメ。

 

この辺はつぶつぶとも共通しますね。

 

 

地球は子孫からの借り物。

 

とも、おっしゃっていました。

 

 

現在は、5人で運営していて、

農業2人、ビール1人、飲食2人ですが、

5名ともどの仕事も出来るようにしてるそう。

 

農業は作る専門で、

農産物の出荷はしていないとか。

出荷すると、さらに人員が3人は必要になるそうです。

 

 

ビールも、世界中の数あるクラフトビールでも、

小麦を自家生産してる工房は、

数えるほどしかないそうで、

 

 

普通のビールの何倍もかかります。

 

 

普通は必要な小麦を必要な時に購入しますが、

 

育てた小麦を1年間保管できる冷蔵庫の建設や、

農業機械の購入、麦芽加工の手間賃など、

 

自家生産だからこそかかる経費が膨大。

 

 

それでも、「「うまい」を常に選ぶ」。

 

まさに、クレイジーです。

 

 

一番小さいコンバインを購入し、

麦や豆の収穫に役立てていますが、

 

農業機械の値段が、

農家の経営を圧迫してる現状だそう。

 

だからこそ、どんどん面積も広げているそうです。

 

 

日本の有機栽培の耕作面積は、

2008年で0.4%。

現在で、0.5%。

 

 

一向に増えない現状も嘆いておられました。

 

 

これからは、

いかに自然栽培の耕作面積を増やし、

そして、

次に続く人にどんどん渡していきたい。

 

とおっしゃっていました。

 

自然栽培は土づくりが命。

 

以前使っていた農薬や肥料を抜くのが、

時間も手間もかかるのに、

 

 

それをした畑を、

次の人につないでいこう、という。

 

 

なんて良い人なんだと思わずにいられません。

 

 

 

 

エネルギー自給やビールのアメリカ進出も視野に入れ、

グローバルな視点の唐澤さんの夢は、

 

「自然栽培の煙草を作ること」

 

 

なのに、煙草は一本も吸ったことがないのですって( ´艸`)

 

自分が作った煙草が、初めての煙草にしたい。

 

 

なんて夢のある話。

 

でもこの人なら実現しそうだな、と思いました。

 

今後も注目したいです!

 

 

 

 

 

続いて、岩手県奥州市の阿部知里さん。

32歳でUターンし、実家の農家を継いで、

水稲1150aの半分を自然栽培、

半分を減農薬で栽培しているそうです。

 

お米を8品種も育てているため、

米が混ざらないように、

機械を使う際の洗浄が大変だそうです。

 

その他、大豆70a、野菜80a、水田の受託600a。

 

「昔食べた美味しいコメを無農薬で作りたい」との思いから、

2005年に自然栽培に出会い、

2007年に自然栽培を開始。

 

0.3haの水田からスタート。

2012年にササシグレで、「米食味鑑定士協会」特別優秀賞を受賞。

2018年11月には「ニッポンのミカタ!」に出演。

 

モットーは、

「大自然を尊重し、その摂理を規範にして、順応すること。」

 

 

反収はなかなか上がらず、3~4俵とのこと。

慣行栽培が9俵、

自然栽培の平均が6俵くらいらしいので、

それに比べると利益率が低いですね。

 

それでも全体的な収支としては、

具体的な収入は控えさせていただきますが、

一般的な収入は得られているようでした。

 

農作業に集中するために、

販売は全て委託にして居るそうです。

 

個別注文はお客様の顔が見る良さがある分、

梱包の手間や資材、

また人手が必要になりますから、

 

そこは農家さんそれぞれで、

どんな形が良いかは変わってくると思います。

 

 

収入にするためには、

販売が必須なのですが、

 

農家さんは栽培は出来ても、

販売に困るそうで、

(売り先の確保、魅力的な梱包など)

 

そこは流通業者に頑張ってもらいたい、

 

と話していました。

 

 

 

ただ発表者さんに共通する思いとして、

阿部さんもおっしゃっていたのは、

 

「自然栽培でしあわせな社会を。」

 

そのために仲間を増やしたい、

ということでした。

 

その思いに共感した方が、

お米を買い、

その技術を引き継ぐのですね。

 

 

 

 

さて、最後は、岡山県の高橋啓一さん。

現在69歳で、1977年から回転寿司「すし遊館」さんを経営。

 

岡山県4店舗、広島県に2店舗、香川県に1店舗、山口県に1店舗を運営し、

岡山県と香川県で、自然栽培米「あさひ」を提供しているそうです。

 

2009年に、

息子さんがとあるセミナーに出席した際、

木村さんのリンゴをもらってきたことがキッカケで、

 

自然栽培に興味を持ち、木村さんの本に出会い、

木村さんに栽培指導をしてもらう機会に恵まれ、

 

2010年にはNPO法人岡山県木村式自然栽培実行委員会を設立。

 

(早い!!)

 

農家、JA、流通業者、ユーザー、消費者の、

5者11名でスタート。

      

現在はスタート当初に比べ、

生産者が3倍以上、生産量は10倍以上。

 

当初は、経営が成り立たないだろうと、

所得補償をしていたそうですが、

 

予想以上の好スタートを切り、

2年目からは補償を廃止。

 

 

現在では作付全てが、田植えの時点で、

買い手がついている状況だそうです。

 

今年は保育園からもオファーがあり、

4月1日から供給開始予定なので、

さらに作付けを増やしていく予定とか。

 

 

収入については、

 

普通の農家では、1俵辺り、

かかる費用は12000円+機械や農薬・資材で3000円くらい

(←ちょっとうろ覚えです💦)

なのに、売価が13000円で、

 

年金等で補填しながらお米を作ってるところも多いそう。

 

なんじゃそりゃ!と思いました。

かかった経費はちゃんと差し引いてから、

売値を計算して欲しいと思います。

 

買う方(JA)も分かっていると思うんですけど…


岡山では、手数料などを支払っても、

生産者が持続可能な値段で買い取りしてるそうです。

 

オンラインショップ「木村ワールド

 

 

農薬は使用しないので、

その分の費用が手元に残りますし、

農家さんの健康も維持できますね。

 

(農薬は、食べる消費者よりも、

育てる農家さんの方が、

直接的な被害のあるモノもあります。)

 

 

 

高橋さんは農家としてではなく、

さすが経営者と言いますか、

 

お互いが利益になり、

参入しやすい仕組み作りが素晴らしい、

としか言いようがありません。

 

 

最初にNPOを設立する際も、

全国的に有機栽培などに否定的に思えるJAを巻き込むことで、

流れを妨げるものを無くして、

大きな渦にすることに成功したように思います。

 

 

「最善は敵を味方にすること」

それはつまり、敵など最初からいなくって、

全てを味方につける懐の深さだと思いました。

 

経済学者、カール・ポランニーの言葉を紹介していましたが、

書き留める前にスライドが進み、、、

 

「市場経済は終焉を迎え、互酬経済へ移行する」

みたいな感じだったと思います。

 

量よりも質、

安全、安心、味覚への移行、

それに伴って価格も高くなる。

 

安く買って、安く売る時代から、

高く買って、高く売る時代へ。

 

人間の価値観の変革を求められる時代である。

 

 

日本の田んぼがすべて自然栽培なら、

4兆円の資産になる。

 

とおっしゃっていました。

 

途中から話が大きくて、

すごい!という言葉しか思い浮かばなくなりました^^;

 

 

高橋さんが写真で紹介していて、

興味深かったのが、

 

レンゲ畑の写真です。

 

一面のレンゲ畑ですが、

誰も種をまかず、

まわりにもレンゲは生えていない。

 

木村さんに聞いたところ、

 

「樹木の水蒸気が雨を呼ぶように、

肥料分や農薬が抜けて、

窒素分が欲しいから畑がレンゲを呼んだのではないか。

それしか考えられない。」

 

 

そうか、地球は必要なものは、

自分で呼び寄せることができるのか。

 

と不思議なお話を聞きました。

 

不思議だけど、木村さんが言うと、

なぜか説得力があります。

 

 

高橋さんの夢は、

「木村秋則さんにノーベル賞を!」

 

農薬も肥料も要らない安全安心の野菜作り。

 

まさに夢の実現です。

 

そのためにも、

 

日本人が広め、

日本人が作り、

日本人が消費し、

 

世界に誇っていきたい農業です。

 

 

 

 

13:20から始まって、

17:30まで続いたセミナーでしたが、

終始、聞き逃せない内容でした。

 

(私の前に座っていた学生は寝ていましたが…)

 

 

写真は、

昨年、自然栽培スクールでお世話になった、

田村真裕美さんの米ぬかを譲っていただいて作った、

米ぬかスコーン。

 

 

昨日、田村さんにもお会いできると思って、

作って持って行きました。

ホシノ天然酵母と自家製五穀甘酒を使って、

砂糖もベーキングパウダーも重曹も使わずに、

ふんわりと仕上げました。

 

田村さんになかなか会えなくて、

交流会の二次会でやっと2個お渡しできました。

 

18個焼いたので、

16個は他の参加者さんに召し上がってもらいました。

 

おおむね好評です。

 

でも、「自然栽培のお米だから」ではなくて、

「なんにも知らなくても美味しい!」

っていうレベルまで持って行きたいですね。

 

 

私は、野菜を作る側でも、流通でもなく、

お家に入ってから食べるまでを応援する係として、

 

自然栽培の食材を無駄なく、

より美味しく食べる料理術を、

どんどんお伝えしていきたいと思います。

 

 

今日の晩ご飯↓

交流会は「レストラン山崎」さんにて。

 

 

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最後までお読みいただき、

ありがとうございました!

 

 

高杉多希

 

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